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ばらばらの人材データを、組織を超えた共通のものさしに変える方法
タクソノミー AIテクノロジー データ
2026年10月1日

ルイ・ソン
Head of Data & AI, MS1
Data & AI部門を統括し、MS1の頭脳となるデータ基盤を担当。金融サービス、フィンテック、そしてHRテックの領域で、データサイエンスとテクノロジーのリーダーとして10年以上のキャリアを積む。複雑に入り組んだ人材データを、安心して使える賢い機能へと変え、企業のより良い人材の意思決定を支える。
企業によって、仕事の表現方法は異なります。あるスキルが業界標準の名称を持つ一方で、別の企業では社内独自の名称で呼ばれていることもあるでしょう。こうした表記の違いは、部門やシステムをまたいで人材情報を検索や比較、分析しようとする際に、大きな障壁となります。
従来の人材管理システムは、あらかじめ決められた分類体系(タクソノミー)か、構造化されていないフリーテキストのいずれかに依存する傾向がありました。決められた分類体系ではビジネスの実態を反映できないことがあり、フリーテキストでは、検索やおすすめでは精度の高い分析はできません。
この課題にMS1は、タクソノミー基盤とタクソノミー管理の2つの連携した機能で応えます。タクソノミー基盤は職種・タスク・スキルをまたぐ共通のものさしを提供し、タクソノミー管理機能は、顧客企業独自の用語や社内のフレームワークや事業文脈をMS1のタクソノミー基盤に結びつけます。
職種・タスク・スキルをつなぐ
MS1のタクソノミー基盤は、人材情報を3つの関連領域で整理します。
- 職種:キャリア領域、役割、専門分野を表します。
- タスク:職種の中で実際に行われる具体的な業務活動を表します。
- スキル:それらの業務活動を支え、開発・評価が可能な能力を表します。
これら3つの視点をつなげることで、職種ごとにどのような業務が行われているか、それを支えるスキルは何か、そして職種を越えてどう能力を転用できるかを、組織レベルで理解できるようになります。特にタスクは、AIが人の作業をどこまで助けられるか、人の能力をどこまで広げられるか、あるいは作業そのものをどこまで代替できるかを分析する際にも有用な単位です。
職種・タスク・スキルが連動した仕組みに支えられたAIによるおすすめにもとづき、社員やリーダーは、スキルやキャリアの開発、または人材ニーズについてより的確な判断を下せるようなります。
このように、タクソノミー管理はMS1を支える共通の仕組みと企業独自の用語やフレームワークをつなぐ役割を担っています。
企業独自の用語を共通のタクソノミーに接続する
多くの企業には、長年かけて築いてきた独自のスキル・タスク・職種のフレームワークや命名規則、社内用語が存在します。こうした既存の仕組みを置き換えることは業務への影響が大きく、外部のタクソノミーと手作業で整合させるのは、コストがかかり維持も難しい作業です。
そんな組織独自の用語をMSのスキル体系に結びつけるのが、MS1のタクソノミー管理機能です。スキルを例に見てみましょう。
- 顧客企業は、社内のエンジニアリングフレームワークの用語や日本特有の人材用語など、企業が独自に定義したスキルを作成またはアップロードできます。システムは用語をそれぞれ解析し、英語表記と日本語表記の対応関係を整えつつ、最も関連性の高いMS1スキルの候補を提案します。
- 管理者は提案された候補を確認して、確定します。適切な候補がない場合、その用語は不正確な対応関係に無理に当てはめるのではなく、企業が指定したスキルとしてそのまま残すことができます。
- 確定されたスキルは、MS1のスキル体系に紐づけられ、プロフィール・検索・おすすめ・分析全体で活用されます。
これにより、社員が既に知っている用語を保持しながら、その裏側でより一貫性のある仕組みの構築が可能になるのです。
MS1はタクソノミーの品質をどう構築し、維持しているのか
AIに支えられたタクソノミー基盤の価値は、MS1のタクソノミー自体の品質と、企業独自の社内用語との紐づけの精度という、2つの要素にかかっています。MS1はこの仕組みを、5つの連動したステップを通じて構築・維持しています。
- 市場データの分析:広範な市場データを分析することで、人材需要の変化や新たに登場した概念、よく使われる用語を把握できます。例えば、2400以上のスキルを含むタクソノミーの初期開発と、その後の拡張の過程で、約18万件の求人情報が分析されました。直近の拡張では、AIによって急速に変化するスキル需要を反映するため、直近数か月分のデータが使用されています。
- 概念の構造化と検証:MS1はデータとAIを活用して関連する概念を整理し、用語を標準化します。同時に、その領域に精通した専門家が英語・日本語双方の結果を確認し、抜け漏れを特定しながら、専門分野特有の意味を損なわないようにしています。
- 翻訳とマッチング品質の検証:人間がレビューしたゴールデンデータセット* を用いて、多岐にわたる用語や関連概念における、英語・日本語間の整合性とスキルマッチングの精度を評価します。これにより、変更が実際に品質を改善しているかどうかを、チームが判断できるようになります。
- 継続的な更新:市場の動向、顧客ニーズ、フィードバック、評価結果を、時間をかけて取り込んでいきます。ゴールデンデータセットも、新たな事例や変化する労働市場の用語を反映して、随時更新されます。
- ゴールデンデータセットとMS1の評価アプローチについては、AIに「正解」を教える—MS1のゴールデンデータセットの実践で詳しく解説しています。
組織にとってのメリット
タクソノミー基盤とタクソノミー管理を組み合わせることで、組織には、次のようなメリットが生まれます。
- 社内用語を保持できる:既存のスキルリストやフレームワーク、グループ化した情報をそのまま使い続けられます。
- 手作業による保守の負担を減らせる:タクソノミーの変更を整合・更新・管理するために必要な時間を削減できます。
- 事業全体での一貫性を実現できる:地域・言語・部門・システムを越えて、人材に関する用語を統一できます。
- 市場の文脈を付加できる:社内の概念を、MS1の仕組みや関連する労働市場の動向と接続できます。
- 人材に関するより踏み込んだ洞察が得られる:人の検索、学習のおすすめ、キャリアプランニング、人材データの分析の精度を高められます。
MS1を貫くこの仕組みにより、断片化した人材データは、確信をもって行動するための土台へと変わります。ビジネスリーダーは、どこに強みや不足があるかを把握し、組織内の役割やスキルを比較し、市場とベンチマークした上で、確かな情報にもとづいて、これまで以上にスピーディに、自信をもって人材と事業の意思決定を下せるようになるのです。
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